合宿免許に入校したものの、さまざまな事情により継続が難しくなることもあります。 そのような場合、新しい教習所で教習を再開したいと考える方も多いでしょう。
しかし、教習の途中で転校できるのか、ペナルティが発生するのかといった疑問や不安を抱える方もいるかもしれません。
そこで、本記事では合宿免許における転校の可否、転校時にかかる費用、手続きの方法や注意点について解説します。
目次
合宿免許の入校後に転校はできる?
合宿免許を実施する教習所は『指定自動車教習所』に該当します。同じ指定自動車教習所であれば、合宿期間中であっても転校できます。しかし、事前に確認すべき条件や手続きにかかる時間などが各校によって異なります。
ここからは、転校の可否とその条件について説明します。
【OK】合宿免許から通学への転校
転校が可能なケースとして、合宿免許から地元へ戻り、自宅から通える教習所へ転校する場合が挙げられます。
合宿免許は、普段の生活とは異なる環境で、見知らぬ人たちと共同で教習や生活を送ります。 そのため、環境に馴染めなかったり、教習が想像以上に難しく感じたり、ケガや体調不良になったりして、合宿免許の継続が困難になることもあります。
通学免許に切り替えることで、教習期間や受講方法を自分のペースで調整できる反面、スケジュール管理や予約の手間が増えるという点は考慮しておきましょう。 それでも、免許取得を継続できる選択肢として有効です。
【NG】合宿免許から別の合宿免許への転校
合宿免許は、約2週間の短期間で集中的に教習を受けるため、途中で別の合宿免許に変更するのは実質的に難しいとされています。
もし、別の教習所へ移動して合宿免許を続けたい場合は、一度現在の合宿免許を退校(途中解約)し、新規で別の合宿免許に申し込む必要があります。 ただし、この方法では、すでに受講した教習の内容を引き継ぐことはできません。
仮免許を取得済みであれば『仮免許所持者向けプラン』を利用できる教習所もあります。この場合、新規での入校が必要となるものの、すでに受講した教習の再受講は不要なため、時間的なメリットが大きいといえます。
まだ仮免許を取得していない場合は、仮免学科試験と仮免技能試験(修了検定)に合格しておくことをおすすめします。
合宿免許での転校と退校の違い
転校と退校の違いは、履修済みの教習を再度受け直す必要があるかどうかという点にあります。
転校の場合、受講済みの教習は新しい教習所に引き継がれます。 一方、退校は中途解約の扱いとなるため、新しい教習所へすぐに入校する必要はありませんが、これまで受講した教習は無効となり、最初から受け直す必要があります。
転校のタイミングについて
教習所によっては転校に関する条件が設けられている場合があるため、タイミングも重要です。
タイミングによって転校条件が異なる
転校のタイミングとは、元の教習所に別の教習所への移動を申し出た時点を指します。このタイミングは転校の可否に大きく影響します。
教習のルールとして、教習初日から9ヶ月間に学科・技能の全教習を終える必要があります。そのため、転校希望を申し出た時点で教習期限までの日数に余裕がない場合には転校できない状況も起こります。
合宿免許の場合、実施期間は約2週間と比較的短いため、教習期限の心配はないでしょう。しかし、混雑する繁忙期には転校生の受け入れを中止している教習所もあるため、転校先の教習所探しが困難になる可能性もあります。
転校を考える際は、転校希望時点での教習の進捗(何段階目か)、残りの期間、転校先の受け入れ状況などを考慮し、最適なタイミングを判断することが重要です。
転校時には教習期限に注意する
転校による教習のブランクや手続きの時間が影響し、卒業までに時間がかかる可能性があります。 そのため、計画的に転校のスケジュールを考えることが大切です。
合宿免許から通学免許へ転校できたとしても、教習期限内に未受講分を消化できなければ、すべての教習が無効となり、初めからやり直しになってしまいます。 せっかく積み重ねた努力を無駄にしないよう、スケジュール管理を徹底しましょう。
しかし、仮免許取得後の段階であれば、仮免許の有効期限(6ヶ月以内)の間に『仮免許所持者向けプラン』に申し込むことで、第二段階の教習から再開できます。
転校時の費用について
転校を検討する際は、元の教習所からの返金額と新しい教習所で発生する費用の目安を把握しておくことが重要です。
ここからは、返金額の計算方法と追加費用について説明します。
元の教習所での返金額の計算方法
元の教習所では、受講済みと未受講の教習料金や宿泊費などを精算し、返金が行われます。具体的な計算方法や費用項目は教習所によって異なるため、確認しておきましょう。
■費用項目
- 入学金
- 受講済みの技能教習費
- 受講済みの学科教習費
- 教材費
- その他諸費用(適性検査料、写真代、効果測定料、仮免許申請手数料など)
- 中途解約手数料
- 返金手続きの手数料
■返金額の計算方法例
支払済みの合計金額 ― 実費(1~5項目) ― 手数料(1~7項目)=返金額
新しい教習所でかかる費用
新しい教習所では追加費用がかかります。費用は、大きく分けて以下の項目があります。
- 入学金
- 未実施教習費
- 未実施技能検定料
- その他費用(教材費、写真代、適性検査料など)
- 転校手続きの手数料
未実施教習費は、元の教習所で消化した教習分を差し引き、残りの教習時間数に基づいて計算されます。 詳細な計算方法や支払い金額については、転校先の教習所に確認してください。
転校時の費用に関する注意点
転校する場合、元の教習所で利用した特典やキャンペーン、交通費の支給などが適用されなくなる可能性があります。 ここでは、それぞれの影響について説明します。
特典やキャンペーンが適用できない
元の教習所で申込時に早割やグループ割、学割などを利用した場合には注意が必要です。
これらの特典やキャンペーンは、基本的に卒業時にキャッシュバックすることが前提のため、別の教習所へ転校すると適用されない場合があります。
事前に適用条件を確認しておくとよいでしょう。
往復交通費の支給が適用できない
教習所によっては往復交通費を支給しているところがありますが、基本的にその教習所を卒業しなければ支給してもらえません。そのため、転校することによって往復交通費が実費になる可能性が高いです。
交通費支給を利用している場合には、教習所に確認するようにしましょう。
転校手続きの流れと手続方法
手続きは元の教習所と新しい教習所との間で行われるため、いくつかのステップを踏む必要があります。スムーズに手続きを進めるためには、必要な書類と手続きの方法を把握しておきましょう。
転校手続きに必要な書類
一般的に、手続きには以下の書類が必要です。
- 教習原簿や履修証明書
- 仮免許証(取得済みの場合)
- 住民票
教習原簿や履修証明書は、教習の引き継ぎを証明する重要な書類で、元の教習所で発行してもらえます。 また、教習所によっては、上記以外に転校届などの書類が必要となる場合もあるため、事前に元の教習所へ確認しておくと安心です。
転校手続きの方法
新しい教習所が決まっているかどうかで、手続きの流れが変わります。一般的な流れは、以下のとおりです。
- 転校の意思を伝える
元の教習所に転校したい旨を伝えます。新しい教習所を決めている場合は名前を伝えておくとスムーズです。元の教習所と新しい教習所の間で必要書類を含めた手続きが行われます。
- 転校先の教習所を選ぶ
転校先が決まっていない場合には、教習所を選びます。教習内容の引き継ぎの可否、通いやすさ、転校を受け入れている時期などを確認しましょう。
- 入校手続きの案内
新しい教習所から電話やメールで入校手続きに関する案内が届くため、それに従って手続きを進めます。
諦めないことが大事! 転校も視野に入れて運転免許取得を目指そう
諸事情により合宿免許を続けられなくなった場合でも、“転校”という選択肢があります。 転校を視野に入れることで、せっかく始めた教習を無駄にせず、運転免許取得を目指すことが可能です。
ただし、転校には元の教習所と新しい教習所での手続きが必要であり、追加費用が発生する場合もあります。 また、転校のタイミングによって可否が変わるため、手続きをスムーズに進めるためにも条件をしっかりと確認しておくことが重要です。
不明な点があれば、教習所や自動車学校に問い合わせることをおすすめします。