合宿免許の参加期間中に、やむを得ず一時帰宅しなければならない状況が生じることもあります。例えば、どうしても帰らなければならない用事が入ったり、病気やケガにより教習を受けるのが難しくなったりすることが考えられます。
このような理由で一時帰宅できるのか心配になる方もいるのではないでしょうか。基本的に、一時帰宅は認められていない教習所が多いですが、例外として許可される場合もあります。
この記事では、合宿免許中に一時帰宅が認められる具体的なケースやその際の注意点について解説します。
目次
一時帰宅・中途解約・退学の違いについて
合宿免許の途中でやむを得ず教習を中断する場合、「一時帰宅」「中途解約」「退学」の3つの方法がありますが、それぞれ意味や取り扱いが異なります。
一時帰宅は、教習を継続する前提で、一時的に自宅へ戻る方法です。後日同じ教習所で教習を再開します。
一方、中途解約と退学は、教習を途中で終了する意思がある場合に選択できます。これらを申し出ると、未受講分の料金が返金されるのが一般的ですが、既に受けた技能教習や学科教習は無効となることがあるため注意が必要です。
ただし、通学免許の教習所へ転校することで、受講済みの教習を引き継げるケースもあります。転校の可否や手続き方法は教習所によって異なるため、事前に詳細を確認しておくことをおすすめします。
合宿免許での一時帰宅は基本的にNG
合宿免許での一時帰宅は、原則として認められない教習所がほとんどです。理由は教習所によって異なりますが、一般的にスケジュール調整が困難であることや安全面への配慮、運営上の問題などが挙げられます。
合宿免許ではあらかじめ教習スケジュールが組まれているため、途中で中断してしまうと教習の進行に支障が出る恐れがあり、再調整が難しくなります。ほかの教習生と同じスケジュールで進められるため、個別対応といった柔軟な対応も行うことができません。
また、一時帰宅中に発生する可能性のある交通事故やケガ、体調不良といったトラブルを未然に防ぐことも、理由の一つです。
合宿免許で一時帰宅できるケース
特定の理由や条件を満たす場合に限り、一時的な帰宅が許可されることがあります。
1.プランに教習所の休校日が含まれる
合宿免許プランのなかには、年末年始といった休校日が含まれていることがあります。このようなプランでは、数日間教習所が休みとなるため、その期間中は一時帰宅するか、施設に滞在するかの選択が可能です。
一時帰宅を選ぶ場合には、往復の交通費が支給されるかどうかを確認しておきましょう。また、滞在を選択した場合も、食事付きプランでは休校期間中の食事提供が停止となるため注意が必要です。
なお、普通車免許取得の最短日数はAT車で約14日、MT車で約16日が一般的ですが、年末年始プランでは休校日数の分、卒業までの期間が延びます。
関連記事:年末年始・冬休みに合宿免許に入校するメリットと注意点
2.一時帰宅プランがある
教習所によっては、『一時帰宅プラン』を設けているところもあります。これは、学校の行事や仕事の予定など、特定の理由で一時的に帰宅する必要がある方に向けたプランです。一時帰宅が含まれている場合もあれば、オプションとして追加が必要なケースもあり、その際は追加料金が発生することがあります。
一時帰宅プランを実施している教習所は限られているため、事前に内容や条件をよく確認したうえで、プランを選ぶことが大切です。
3.事前に一時帰宅の予定が決まっている
卒業式や冠婚葬祭への出席など、あらかじめ合宿免許の日程が重なる予定が分かっている場合には、事前申告により一時帰宅が許可される場合があります。
特に、高校生や大学生の方は、春休み期間中の合宿免許と卒業式の日程が重なることも珍しくありません。該当する方は、申込み時点で教習所にその予定を伝えて承諾を得ておくことが必要です。
4.やむを得ない事情がある
突発的な病気やケガなど、やむを得ない事情が生じた場合には、一時帰宅が認められることがあります。例えば、急な体調不良や身内の不幸などで教習への参加が難しくなるケースです。また、インフルエンザといったほかの教習生に影響を及ぼす可能性のある場合も含まれます。
このような状況になった際には、速やかに教習所へ連絡を入れ、その後の対応について指示を仰ぎましょう。
関連記事:合宿免許で体調不良になったらどうなる? 教習への影響と6つの対処方法
5.仮免学科試験で3回不合格になってしまう
仮免学科試験で3回不合格になると、教習所ではそれ以上の受験ができなくなるため、一時帰宅して地元の運転免許試験場(運転免許センター)で再受験する必要があります。
この場合、教習スケジュールの再調整や卒業までの日程が延長されることになります。
一時帰宅する際の注意点
合宿免許中に一時帰宅を希望する場合、さまざまな条件や制約があります。一時帰宅する際の6つの注意点について説明します。
1.自己判断で一時帰宅はできない
一時帰宅は、自己判断で行うことはできません。希望する場合は、本人の都合や理由、一時帰宅の予定日にかかわらず、事前に教習所へ申請し、許可を得る必要があります。
無断で帰宅することは規約違反となるため、必ず教習所に連絡し、指示を仰ぐようにしましょう。
2.再入校の日程は自分で決められない
一時帰宅後の再入校の日程は、自分で決めることができないのが一般的です。教習所のスケジュールや定員状況に応じて調整されるため、希望どおりの日程や最短日数で復帰できない場合もあります。
特に繁忙期には受け入れ枠が限られており、再入校までに数日から数週間かかる可能性もあるため注意が必要です。再入校までの期間が長引けば、その分卒業までのスケジュールも延びてしまいます。
3.交通費は基本的に自己負担
教習所によっては交通費を支給しているところもありますが、実施している教習所は限られています。一時帰宅にかかる交通費は基本的に自己負担です。
事前に一時帰宅を予定している場合は、入校時と再入校時の2往復分の費用が発生するため、それらを含めた全体の費用をしっかりと見積もっておく必要があります。事前に交通手段や料金を確認し、必要に応じて学割や早割などの割引特典を活用するのがおすすめです。
4.再入校後の部屋は前と同じとは限らない
再入校する際、以前と同じ部屋に滞在できるとは限りません。相部屋・シングル・ツインといった部屋タイプが異なる場合や、学生寮・ホテルといった宿泊施設に変更が生じることがあります。原則、宿泊先を自由に指定することはできないため、希望する部屋タイプや宿泊先があっても事前に確保することはできません。
また、一時帰宅時には荷物をすべて持ち帰る必要がある点にも注意が必要です。
5.一時帰宅後に再入校できない場合は中途解約
一時帰宅中に何らかの事情で再入校できない場合には、一般的に中途解約として手続きを行います。その場合、各教習所の規約に基づいて未受講分の料金が返金されます。
この時に注意しなければならないのが、予約時に特典を利用した場合です。プランによっては早割・グループ割・学割など、さまざまな割引特典やキャンペーンが適用されていることがあります。
「卒業時にキャッシュバック」という条件付きの特典では、中途解約をすると無効になることに注意しましょう。
6.再入校時に追加料金が発生する場合がある
再入校する際は、空き状況や繁忙期によって追加料金がかかることがあります。延泊による宿泊費や再スケジュールの手数料などが別途発生することもあり、費用の内容や金額は教習所によって異なります。
保証制度が付いたプランでも、一時帰宅に関する費用が保証の対象外となる場合もあるため注意が必要です。事前に教習所に確認し、追加費用の有無や詳細を明確にしておくことと安心です。
一時帰宅するなら教習所のエリアも重要
一時帰宅の可能性がある場合は、教習所の所在地にも注目して選ぶことが大切です。
自宅からの距離が近く交通の乗り換えが少ないエリアであれば、移動の負担も少なく、交通費も抑えられるため、一時帰宅しやすくなります。特に学生や社会人で、予定が変わる可能性がある方にとっては、アクセスの良さは大きなポイントです。
ただし、注意すべき点として“入校不可地域”があります。これは教習所が定めている規定で、自宅から教習所が近すぎる場合は合宿プランでの入校ができないケースがあります。
申し込み前に、対象地域を確認しておくことが望ましいです。
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一時帰宅は教習所に要確認! 安心して合宿免許に参加しよう
一時帰宅が認められる条件や対応は教習所によって異なるため、希望する場合は事前に詳細を確認しておくと安心です。体調不良や家庭の事情など、やむを得ない事情で帰宅する場合でも、無断では認められないため、必ず教習所に連絡し、指示を仰ぐ必要があります。
また、一時帰宅後の再入校についても、教習所側でのスケジュール調整や必要な手続きが発生します。スムーズに教習を再開するためにも、あらかじめ必要な手続きを済ませておくことが大切です。
万が一の事態に備え、しっかりと確認と準備を行い、合宿免許を無事に卒業できるようにしましょう。