教習所にはさまざま種類があります。これは単に自宅から通学する教習所と、自宅から離れた地域で宿泊しながら運転免許取得を目指す合宿免許の教習所、という違いだけではありません。
教習所には『届出自動車教習所』と『指定自動車教習所』があり、それぞれ特徴が異なります。特に、初めて運転免許を取得する方にとっては、 教習所の違いを理解しておくことが重要です。
本記事では届出自動車教習所の基本知識やメリット・デメリット、指定自動車教習所との違いを踏まえたうえで、どの自動車学校が最適かを解説します。
目次
届出自動車教習所とは
届出自動車教習所とは、公安委員会に届出をした自動車教習所のことです。非公認教習所や指定外教習所などと呼ばれることもあります。
公安委員会に届出をしているものの指定は受けていないため、教習所で学ぶ内容や運転免許を取得するまでの流れなどに特徴があります。教習所を選ぶ際にはその点を意識することが重要です。
特定届出自動車教習所との違い
特定届出自動車教習所は、公安委員会に届出済みであることは届出自動車教習所と共通していますが、特定の講習を実施することが許可されている点で基準が異なります。
特定の講習には、『取得時講習(自動車等の運転に関する講習と応急救護処置に関する講習)』と『特定教習』があります。取得時講習は本免許試験に合格した後に受講する講習で、運転免許証を交付してもらうために必要です。
特定届出自動車教習所ではこれらの講習が実施可能ですが、一般の届出自動車教習所では実施できません。そのため、届出自動車教習所の利用者は、特定届出自動車教習所または指定自動車教習所で講習を受ける必要があります。
仮免許取得後や本免許の技能試験前に特定教習を受講している場合、取得時講習の受講は不要です。
指定自動車教習所との違い
指定自動車教習所は公安委員会が設定した基準をクリアした教習所のことで、届出自動車教習所はこの基準を満たす必要がありません。
ここからは、この点に基づいて教習内容や教習期間、受験場所の違いについて解説します。指定自動車教習所と比較検討する際の参考にしてください。
教習内容と期間
指定自動車教習所では1日に実施する技能教習の最大時間に規定があります。具体的には第一段階が2時限まで、第二段階が3時限までです。また、学科教習は必ず実施しなければならず、指導員は国家資格所持者でなければなりません。
また多くの場合、試験対策用のアプリやパソコン学習機器が設置されており、効率的に学べる環境が整っています。
届出自動車教習所では、教習内容や時間に細かな規定がなく学科教習は必ずしも必要ではないため、教習所ごとに独自性のカリキュラムを組むことが可能です。
受験場所
指定自動車教習所の教習生は卒業すると本免技能試験が免除され、本免学科試験のみ運転免許試験場で受験します。それ以外の試験はすべて教習所内で受けます。
届出自動車教習所の教習生の受験場所は、すべて運転免許試験場です。普段教習を受けている場所で受験できないことが指定自動車教習所との大きな違いです。また、試験場に行く回数が多く、その都度受験料や手間がかかります。
届出自動車教習所のメリット
届出自動車教習所のメリットを2つ紹介します。
1.指定自動車教習所よりも料金が安い
届出自動車教習所では教習がセットになったプラン料金もありますが、必要な分だけ教習を受けられる柔軟なプランを採用しているところもあります。学科教習が基本的にないため、費用を抑えられます。
一方、指定自動車教習所のプラン料金には、仮免技能試験、仮免学科試験、卒業検定が含まれており、本免技能試験は免除されます。しかし、これらの試験を運転免許試験場で受験する必要があり、受験料が別途かかります。そのため、これらの費用を予算に含めておくことが重要です。
2.指定自動車教習所よりもスケジュールが自由
料金が安いだけでなく、スケジュールが自由に決められる点もメリットの一つです。
届出自動車教習所は、指定自動車教習所のようにカリキュラムや最低教習時間の制約がありません。自分の都合に合わせた柔軟なスケジュールを組むことが可能です。必要な教習分だけ受けられる点も魅力です。
届出自動車教習所のデメリット
料金の安さやスケジュールの自由さといったメリットがある一方、デメリットもあります。ここでは、届出自動車教習所のデメリットを4つ紹介します。
1.試験のたびに運転免許試験場に行かなければならない
届出自動車教習所の教習生は、免許取得までに以下の試験を運転免許試験場で受ける必要があります。
- 仮免技能試験
- 仮免学科試験
- 本免技能試験
- 本免学科試験
不合格の場合は再試験が必要です。仮免技能試験と仮免学科試験を同日に受けることも可能ですが、仮免技能試験に合格しなければ仮免学科試験を受けられません。試験のたびにその都度試験会場に行かなければならないことを理解しておきましょう。
2.最終試験合格後に取得時講習を受けなければならない
届出自動車教習所の教習生は、すべての試験に合格した後に取得時講習(自動車等の運転に関する講習と応急救護処置に関する講習)を受ける必要があります。
一方、指定自動車教習所の教習生は受講の必要がないため、この点もしっかりと比較検討しましょう。
3.学科教習がなく自己学習が必要
届出自動車教習所では、法的な義務がないため学科教習を行わないことが一般的です。そのため、教本や問題集を用いた自己学習が必要です。
学科試験対策も自身で行う必要があり、不明な点が生じても自分で解決しなければなりません。指定自動車教習所のような十分なサポートを受けられないため、周りに運転知識や技術を十分に持っている方がいなければ、デメリットになるでしょう。
4.教習所ごとに教習内容や指導方法が異なる
届出自動車教習所では、教習所ごとに独自の教材や指導方法を採用できます。各校の運営方針に基づいて行われるため、指導内容や方法にバラつきがあります。
教習所を選ぶ際には教習内容や指導方法をチェックし、自分に合っているかどうかを見極めることが重要です。
届出自動車教習所と指定自動車教習所のどちらが最適?
教習料金の安さやスケジュールの自由度を考えると、届出自動車教習所を優先的に検討する方もいるかもしれません。しかし、それだけで自分に適しているかどうかを判断するのは簡単ではありません。
届出自動車教習所では、指定自動車教習所で免除される本免技能試験を受験する必要があります。また、学科教習がない分、教本や問題集を用いた自己学習が求められます。
一方、指定自動車教習所では、国家資格を持つ指導員による質の高い指導や試験対策のための設備が整っており、免許取得に向けた手厚いサポートが受けられるため、安心感があります。
交通法や運転技術など高い知識と技術を持っている方であれば、届出自動車教習所でも問題ないかもしれません。しかし、初めて免許取得を目指す方には、指定自動車教習所のほうが短期間でスムーズに免許取得できる可能性が高いといえるでしょう。
教習所の違いを理解したうえで自分に合った教習所を選ぼう!
届出自動車教習所と指定自動車教習所は、それぞれ異なる特徴があります。届出自動車教習所では、教習費用をセット料金または単発料金から選べるほか、スケジュールの自由度が高い点が魅力です。しかし、受験の場所や学科教習のサポートが限られているため、不便さを感じることもあります。
一方、指定自動車教習所は、体系的なカリキュラムと充実したサポート体制が整っており、安心して学べる環境が提供されています。
届出自動車教習所と指定自動車教習所、それぞれのメリット・デメリットをしっかりと理解し、自分に合った教習所を選ぶことが大切です。