自動車を運転する時に働く「自然の力」を、正しく理解しよう。

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こんにちは、通学教習所さぽっとのわかばです!

バスや電車に乗っていて、「ブレーキがかかった瞬間に進行方向に倒れそうになった」「カーブにさしかかった時に曲がった逆側に倒れそうになった」という経験はありませんか。
この「自然の力」は自動車を運転するときに車にもかかっており、運転に大きな影響をもたらします。しかしどのような力がかかるのかを理解していれば、あらかじめ心の準備ができて安全に運転ができますね。

では車には、どのような「自然の力」が働くのでしょう。実際に学科試験で出題された問題を参考に、確認していきましょう。

【このページで紹介する内容】
1、「路線バス専用」の標識があった時、そのまま通行できるの?
2、車は急に止まれない。「空走距離」と「制動距離」を理解しよう。
3、ブレーキをかけても止まらない場合があることを、知っておこう。
4、さいごに。

カーブを曲がるときに働く「自然の力」について。

【試験問題】
曲がり角などでハンドルを切った場合、速度が3倍になると遠心力は9倍になる。◯か✕か?

【解答】

運動している物体は、外から力を加えない限り同じ運動を続けるという物理的な現象があります。
これは「慣性の法則」と呼ばれる現象で、カーブや曲がり角を曲がるときは、この慣性の法則の一つである遠心力が働きます。

いくらハンドルを操作して曲がろうとしても、車には今まで通りに真っすぐ進もうとする力が働きます。そのためカーブなどで曲がるときには、外側に倒れるような力がかかります。

遠心力は速度の2乗に比例して大きくなり、またカーブが急であるほど遠心力も大きくなります。
カーブなどでハンドルを切った場合に、速度が3倍になれば遠心力は3×3で9倍に、速度が4倍になれば遠心力は4×4で16倍にもなります。
遠心力の影響で車は外側に行こうとします。そのためスピードによってはうまくカーブを曲がりきれずにガードレールに激突したり、反対車線にはみだしてしまい対向車と正面衝突したり、車自体が外側に振れて横転したりする危険があります。
カーブではあらかじめ手前でスピードを落とし、遠心力を最小限に安全に曲がり切るようにしましょう。

車は急に止まれない。「空走距離」と「制動距離」を理解しよう。

ブレーキを踏んで自動車を止めるには、「慣性の法則」によって進み続けようとする車の慣性力と、タイヤの摩擦抵抗を利用する必要があります。
しかし摩擦抵抗はブレーキパッドなどの装置、タイヤと路面の状況によって大きく変化します。

ブレーキをかけてから、車が止まるまでの距離を停止距離と言います。停止距離は、空走距離と制動距離を足した距離のことを言います。
空走距離:危険を察知してブレーキを踏んでから、ブレーキが効き始めるまでに車が走る距離
制動距離:ブレーキが効き始めてから、車が実際に停止するまでの距離

制動距離は路面が雨で濡れていたり、タイヤがすり減っていた場合には、通常の2倍になります。また路面に雪が積もっていたり凍結していると、3倍以上にもなります。
そして制動距離は、速度の2乗に比例します。スピードが出れば出るほど止まるまでの時間が長くなり、危険を察知できても衝突してしまう恐れが高まります。

ブレーキをかけても止まらない場合があることを、知っておこう。

ここまでブレーキを踏んで車を停止させるやり方について説明しました。しかし状況によっては、ブレーキを踏んでもブレーキが効かないという現象が起きることがあります。
その現象を、確認しておきましょう。

【ブレーキが効かない現象】
①フェード現象:
下り坂などで連続してフットブレーキ等を使い続けることで、ブレーキパッド等が過熱して摩擦力が減少。その結果、ブレーキの効きが悪くなる。
②ペーパーロック現象:
フットブレーキ等を使い続けると、ブレーキパッド等が過熱した熱がブレーキ液に伝わり、ブレーキ液内に気泡が発生。この状態ではブレーキを踏んでも圧力が伝わらず、ブレーキが効かなくなる。

特に下り坂などではあらかじめスピードを落とし、エンジンブレーキもあわせて適切に使うようにしましょう。

さいごに。

車に働く「自然の力」は理解できたでしょうか。
この「自然の力」は、しっかりと理解しておけば安全運転が可能です。特に安全に止まったり、曲がったりするには、スピードの出しすぎは厳禁。適切なスピードを守って安全に運転しましょう。